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ヴァリアーと言う人達は、普段滅多に姿を表さない。
暗殺者集団と言う名目上それは仕方のない事だと理解もしている。
…暗殺、なんてやりたくないから依頼したことはなかったけど、彼らの考えで色々動いてはいるらしい。
「――…ふぅっ」
考えるのは苦手。
だけど、この任に就いてからは否応なしに考えることが増えた。
最近は漸く頭の使い方がわかってきたところだ。
「もう12時だよ…」
この勤務時間も実はどうにかしたいんだよな…体が保たないよ。
「…――」
「え?」
誰かに呼ばれた。
と思ったけど実際に呼ばれたのか超直感だったのか。
そのあとバルコニーに面した(強化)硝子の扉が、がしゃんと派手な音を出しながら開いた。
…あれ、オレ鍵開けっ放しだったっけ?
「綱吉」
「…ざ、んざす…さん…」
「間抜けな面するんじゃねぇ、カスが」
「すいませ…じゃなくて!どうやって来たんですか此処に…!?」
「飛んだ」
余りと言えば余りな答え。
でもリング戦の時に実際飛んでたしな…
「えっと…」
ふ、と視線を向けられて体がこわ張る。
蛇に睨まれた蛙状態。
「XANXUS…?」
「明後日だ」
「へ?」
「明後日、また来る。今度は昼間に、正面から」
「あ、はい。明後日ですね」
じゃあ空けといた方がいいよな。
引き出しから手帳を出して書き込む。
…あれ、そういえばもう0時まわってるんだよな…昨日から数えたほうがいいのかな。
「ねぇXANXUS…」
今日から数えるの、それとも昨日から?
そう聞こうとした声は柔らかく遮られた。
「…………」
「…………」
艶掛かった瞳が近い。
紅くしっとりと煌めく目。
「数えるのは今日からだ」
ふっと笑って、額に軽いキスを落として、
「じゃぁな、綱吉」
暗殺部隊のボスは、
「…………ッ!」
颯爽と帰っていった。
「…ううう、恥ずかしいけど格好良い…なんか悔しい…」
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