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「にほーんッ!」
「はい?」
すぱぁん。
軽快な音をたてて障子が開かれる。
見れば髪を乱して息を荒げたアメリカさんが立っていた。
あああまた靴のまま…廊下を掃除するのは一体誰だと思ってるんでしょうねこのKYは。
しかも砂つきの靴で廊下擦りやがりましたか。
床に疵が…あれ一度ついてしまったらなかなか消えないんですよ畜生読める空気探してこい!
「どうかなさったんですかアメリカさん、それと靴は脱いでください」
まぁそんなことはおくびにも出さず。
なんだか私歳をとって狸になってきた気がしますが。
「日本もクッキーのほうが美味しいと思うだろう!?」
「…は?」
老獪になってきたと思ったけれど流石にいきなり同意を求められれば戸惑う。
だいたいなんですかクッキーのほうがって。
何と比べてるんですか。
「話がさっぱり読めないのですが…」
「だからさ!お茶受けにするならクッキーだよね!?」
「先ず靴を脱いで玄関に置いてきてください」
ああうん、なんて生返事を返して尚も同意を求めてくる。
クッキーでも何でも良いから早く靴を脱げ。
と。
はたはたと足音がして、
「おいアメリカ、どけよ!てゆうか靴脱いでこいよ!」
イギリスさん迄もやってきた。
あ、靴は脱いでるんですね。
「あ、イギリス遅いよ!」
「仕方ねーだろ、俺の靴脱ぎにくいんだから」
「そうだよね、君の靴今時前で紐ほどかなきゃいけないもんね」
「それで時間が掛かってたんですね。アメリカさんは靴を脱いで置いてきてください」
「――ええと、それで?一体何があったんですか?」
取りあえずアメリカさんに靴を脱がせて、廊下を軽く掃除して落ち着いたところで改めて話を振る。
「だってイギリスがお茶にはスコーンだって言うんだよ。でもあれ不味いじゃないか」
「不味くねぇよ!だいたいお前んとこのクッキー甘すぎるんだよ!」
「何言ってるんだい、甘いのが良いんじゃないか!」
そして話を振ったら振ったで言い合いを始めてしまった。
ああもう何なんでしょう全くこの兄弟は!
話の流れは分かりましたけど…そんなのどっちだって良いじゃないですか。
個人的にはアメリカさんのクッキーは濃いのでどちらかと言えばスコーンのほうが良いですけど、イギリスさん料理下手なんですよね…
「ちょっとおふたりとも落ち着いてください」
「「日本はどっちが良い!?」」
「えー…」
どっちって。
「私はお煎餅かお饅頭が良いです」
だってどっちも粉っぽいんですよ。
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