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好きです、小さく呟いた言葉はあなたに届く事なく冷気に溶けた。
からからに乾いた空気、時折ひゅっとなぶるように吹く風が彼の鼻や頬を赤く染める。
「骸、」
「なんです?」
「手」
繋ごうぜ、と言いながらすっと手が差し出される。
指先は白く色が抜けていて。
「嫌ですよ、あなたの手、今冷たいじゃないですか」
「えー…良いじゃねぇかよ、骸手袋してるんだし」
「い・や・で・す」
「ちぇ」
スタッカートをきかせてつんとしながら言ってやると、少しむっとしたような顔をしながら子供っぽく唇を尖らせる。
年に合わない行動ではあるけれど、童顔な方である彼がやると妙に嵌まっている。
「子供っぽいですよ、ディーノ」
「骸が意地悪だからだろ」
「ほら、また」
いじけた風に小石をける彼が可愛らしくて、笑いを堪えながら小走りに近寄る。
はし、と手を掴めば驚いたらしい。
糖蜜の目をぱちりと開いて僕を見る。
「冗談ですよディーノ、」
だから拗ねないで。
小さく言えば、この優しいひとは、
嬉しそうに、微笑う。
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