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「ちょっ、誰かァァァァァァァァ!!」
微妙にひっくり返ったの太い声が聞こえてきた。
…何これ、ルッスーリア?
「…なんだぁあ゛?」
「さぁ…」
ルッスーリアが此処まで取り乱す声も珍しい事は珍しいんだけど、如何せん何処にいるか分からないから誰か!とか言われても行けない。
「ボスなら知ってるかな?」
「ぁあ゛?…知らねえだろぉ、あいつは」
「そうかな?取りあえずボスの処に行こうよ」
そんなことを言って。
とにかくなにがあったのかくらいは把握しようとボスの処に向かった。
「出たのよ」
「…何がだぁ」
「簡潔すぎるよ、ルッスーリア」
「だって!もぅ、本当驚愕したのよ!?」
「だから、何が出たのさ?」
「…奴よ」
「奴?」
さっきから聞いてはいるけど、彼の言う事はさっぱり要領を得ない。
「おい」
「…言っちゃって言いのかしら…奴よ。その――ゴキブリ」
最後の方はごく小さな声で囁くように言ったんだけど、それでもちゃんと聞こえた。
そうか、ゴキブリ。
なるほどルッスーリアはよく厨房にいるし、遭遇しちゃったわけだ。
「…………………」
「…ボ、ボス?」
「…………ってこい…」
「う゛お゛ぉい、何言ってるか聞こえねぇぞぉ」
「誰かコッ●ローチを買って来ォォォォォォい!!!!」
「ちょ、ちょっとボス落ち着い…」
「五月蠅ェェェ!」
「
ぅゴフッ」
うわぁ、の太い。
ボスの足がルッスーリアにクリーンヒット…てとこかな。
「奴等は1匹見ると100匹いるっつうだろうがァァァァ!」
「ボス、落ち着けぇえ゛!」
「黙れェェェェ!!」
ああもう、どうにもならないかもねこれは。
ボス錯乱してるし。
「レヴィ、止めないの?」
「俺はボスを止める自信はない」
「…だろうね」
「…なにしてんの?」
「ああっベルちゃん!ちょっとボスを止めるの手伝っ…ガハッ」
「マーモン、説明」
「奴が出たんだってさ」
「あっそ」
ふぅ、なんて似合わない溜め息を心底呆れたように吐いて、彼は見つけた。
「あ、ゴキブリ」
「何処だァァァァァァァァ!!」
「煩いなぁボス」
面倒そうに言って。
「うりゃ」
さっくりと、それを自身のナイフで壁に縫い留めた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
キュイン、とゴーラが小さな機械音をたてた。
「………おい、ベル」
「なに、ボス」
「お前残りの99匹も仕留めてこい」
「勘弁して」
(真逆のベル落ち)
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