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「それでっ!ヒドいんですよイギリスさんったら!」
もぐもぐ。
かちゃかちゃ。
「そしたらその時なんて言ったと思いますっ!?」
ごくごく。
これ、全部日本が出してる音。
ついさっきすごい勢いでやってきて、聞いてくださいよイタリアくん!
…って。
とりあえずお茶とお菓子を出して、ふたりして寝転がって。
日本はずぅっと愚痴だらけ。
お菓子はすごい勢いでなくなってく。
「アメリカさんは空気読まないし!何あのKY!むしろAKY!」
「にほんー…AKYってなに?」
「敢えて空気読まない、です!」
「そうなんだー!あっ、じゃあアメリカはあの読める空気を見つけたんだね!」
「そうらしいですね」
ふぅっ、ひとつ大きく息を吐いて、日本がクッションに倒れ込む。
あー、ばたばたしたら足見えちゃうよー。
日本は全然気にしてないけど。
足細いなぁ…なんて。
普段日本の足をこんなふうに見ることなんてないから余計に思う。
色白だし。
日本は全体的に造りが華奢だけど強いんだよなぁ…なんだっけあれ、えっと…あ、はくへいせん、だ。
「日本はさー」
「はいー?」
「イギリスがキライなの?」
「何言ってるんですか…嫌いだったら家まで行きませんよぅ」
「ふぅん…」
「ロシアさんとか近付きたくもないですしー」
「あー俺もニガテだなー」
ぐだぐだ。
普段の日本から想像できないようなだらけっぷり。
…あれ、もしかして。
「ねぇ日本ー」
「なんですかー?」
「日本さー、もしかして酔ってる?」
「あー…酔ってるかも、知れませんねー…」
「そっかー」
「そうですー」
ああ、やっぱり酔ってるんだ。
そうだよねぇ、日本こんなこと言わないもんねぇ。
と。
ノッカーのおと。
チャイムもすごい勢いで鳴らされている。
「誰だろ」
「知りませんよー」
「俺ちょっと言ってくるねー」
「はぁい」
がんがんがんがん。
はいはい今行くよー。
「どなたで」
「おいイタリア日本はどこだ!」
ヴェー!?
イギリス!?
「なっななななんっ」
「お前じゃなくて日本だ、日本!いるんだろ、ここに!」
「いっいるけどっ!」
「邪魔するぞ!…どけよ!」
「ふわぁ!?」
ぐいっと押し退けられて、ああでも日本ってば今機嫌悪いのにっ!
「日本!」
「…何しにきたんですかー」
「何しにって、」
「私はイタリアくんに癒されにきてるんですよ!?それなのにイギリスさんが来たらパァじゃないですか!パァ!」
「ぱ…」
「もぉぉぉせっかくまったりしてきたところだったのに!なんなんですかイギリスさん!」
日本が。
いつもにこにこしてて、まぁ時々おかしくなるけど声を荒げるなんてしなかった日本が。
イギリスに怒鳴ってる…!
「に、日本ー…?」
「もう帰ってくださいー!ねぐらにお帰りー!」
「え、日本ちょっと落ち着いてよー!」
「ううう…もうやだぁ…いろいろせいしんてきなものがたまってきたからイタリアくんに癒してもらってたのにぃぃ…」
「………………」
あーイギリス固まっちゃってる…そうだよねぇこんなふうに言われることないもんね。
「…イタリア……」
「うぇっなっ何っ?」
「俺…帰る…」
「う、うん…気をつけてね…」
憔悴しきったイギリスの背中はなんだか哀愁を帯びてました。
「この間はすみませんでした、イタリアくん」
「全然良いよー!日本いつもなんにも言ってくれないから俺嬉しかったし」
「そうですか?」
「うん!…日本さ、ああ言うことってよくあるの?」
「まぁ…たまにですけど。あるんですよね…富士山のようなものでして」
「フジヤマ?」
「ええ。ご存じですか?富士山って活火山なんですよ」
「かつ…?どうゆうこと?」
「噴火するんですよ。今でも」
「ええ!?だ、大丈夫なの!?」
「まぁ100年に1回くらいですし」
「ほぇー…」
「私も時々ああして爆発しちゃうんですよね」
「そっかー…あ、日本、」
「はい?」
「イギリスと仲直りした?」
「…ええ、まぁ、一応?」
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