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雨に寄せて。
あれは雨。
五月雨、時雨、豪雨に霧雨。
雨と名のつくは多いけれど、そのどれにも当てはまる。
埃に塗れた風を洗う、さらさらと細い雨。
残酷なまでに優しい、水滴。
懐に囲い込んだ小ささを守ろうと威嚇する、つやりとした光。
あぁ、触れたくて、触れたくて、手を伸ばして、驚いた瞳。
おびえられたいわけでもけいかいされたいわけでもなくただそばにあってほしいだけ。
雲に寄せて。
あいつは、雲。
羊雲のように群れず、入道雲よりも尊大で、それでいて飛行機雲よりもしなやかなイメージ。
嵐の前に見せる不機嫌な表情。
しんしんと降らせる雪は彩。
風と自分の行きたい方向に任せて進む、浮雲。
触れたくても触れることのできない空高く。
ただおどろいただけでだいじょうぶだからだいじょうぶだからそのままてをのばしていっしょにいさせて。
あの、愛しい水に寄せて。
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