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「マーモンだ」
「よろしく、」
そいつは、ボスの後ろからひょっこりと顔を出して挨拶をした。
目深に被ったフード、頭にちょこんと乗った黒い蛙。
小さい。
それが最初の印象。
「あら可愛い」
「小せぇなぁ゛…いいのかぁボス?」
「実力はある」
ししし、ボスってばマーモンの事気に入ってるみたいだね。
実はボスって小さくて可愛いモノ大好きだし。
「ふぅん…マーモン、オレはベルフェゴール。ベルな。王子って呼んでいーぜ、マーモン飴食う?」
「…子供扱いは嫌いなんだけど」
「子供じゃん。寧ろ赤ん坊じゃん」
「それでもだよ」
きんいろ。
ティアラ。
自称王子。
彼の第一印象はこれくらいだ。
あとは子供扱いをする気に入らない奴。
「マーモンマーモンすげぇ見てコレ!」
「なにそれ…うわ」
「ちょーデカいよこの蝸牛!」
あぁ、でもよく構ってくれるし彼の方が子供っぽい事もよくある。
みんな少しずつ違った構い方。
ボスは無言で何かくれる。玩具とかお菓子とか。
スクアーロはよく抱き上げてくれる。
ルッスーリアはお菓子を作ってくれる。
レヴィは何も言わない。でも落ち着く。
ゴーラはまぁ…大きいから乗っていられていいかな。
「ちょっ止めてよベルこっちに持ってくるの!だいたい君王子なら普通蝸牛とか持たないでしょ!」
「うしし、王子に不可能はないって知らないのマーモン。それよりさぁオレお腹空いちゃった」
「僕は空いてないよ…ルッスーリアがいま何か作ってるでしょ」
「何かなールッスーリアの事だからケーキかなー」
「チーズケーキだと思うよ」
小春日和の庭で、こうしてふたりそよ風に吹かれるのも悪くない。
さやさやと吹く風の中、切り裂き王子と呪われた子供がそんな事を想った。
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