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「…ぅく…っひゃ、ぁ」
少し長めのさらさらとした髪。
似ているのは、そこだけ。
「た…ちょ、」
「総悟、でさァ」
「そぅ…ご…」
嬌声の声色なんて似ても似つかない。
アンタなら、きっと声を押し殺して鳴く。
それでも、静かに啼く此れの揺れる髪は似ていて、ぁ、なんて小さな声が漏れる。
(ひじかた、さん)
きつくキツく瞼を閉じて夢想する、アンタの黒い髪。
瞼を開けばあるのは濃い墨色で、衣擦れのような音を立てるのは同じのさらさらとした髪。
いっそのこと薄墨色なら、似ていないと言えたのに。
濃い色だから、濃い色をしているから、似て見える。
笑いますか。
愚かだと、馬鹿な野郎だと云いますか。
アンタが好きで好きで堪らなくてただ少し似ているってだけで違う奴と身体を重ねる俺のことを。
接吻の代わりに振るう暴力を、非道い奴だと云いますか。
こんなモノが愛情だなんて――浅ましいと。
アンタは、俺に、告げますか。
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